持たざる経営
従来の日本の企業は何でも自社で抱え込むインソーシングの経営をしてきました。しかし、市場が成熟し、先の見えない現在、何でも自前ですることは、リスクが高い上にコストも高くつき、経営の自由度が制約されることになります。例えば、工場を持てば、それを稼動さすために物を作り、それを売らなければならなくなり、売れなければ在庫を抱えることとなります。これに対して、工場をもたなければ、その稼動を考える必要がなくなり、自由かつ機動的にに経営できるようになります。このような見地から、企業が何でも自社で抱え込むという考え方は破綻し、企業は自分の中核的部分に特化し、他は外部の専門企業に依存するという考えが生まれてきました。これが、「持たざる経営」あるいは「所有ではなく活用戦略」としてのアウトソーシングです。
請負的アウトソーシング
従来から、社会保険労務士は、社会保険・労働保険の手続代行や給与計算のアウトソーシングを行ってきました。人を雇えば様々な手続が発生します(入社、退社、結婚、出産、病気、怪我等)。これらのことを社長自らが行うのでは雑用に時間を取られ、本業が疎かになってしまいます。かといって、専門の人を社内で養成するとなると、労働基準法等の専門知識の習得はなかなか困難である上に、その人が辞めた場合たちまち困った事態になってしまいます。しかも、社員の場合は年収500万円だとすると、会社のコストは600万円程度かかります。従って、総務に関する定型的な手続的な事項については外部に委託し(請負的アウトソーシング)企業は自らの中核的仕事に人的資源を投入することが合理的です。